2018年3月16日金曜日

ちとふな・ノスタルジー

「ちとふな」=千歳船橋のこと。
世田谷区にある小田急線沿いの各駅停車しか停まらない駅のひとつ。
学生時代の2年間をこの街で過ごしました。

当時は家庭の事情もあり、とにかくお金がなかったので、生活の為にほぼ毎日をバイト=日本橋・東急百貨店B1にあったサンジェルマンというパン屋さんで働き、過ごしていました。学校へは最低の単位を取るためだけに、ごく稀に登校していたような惨憺たるあり様。

実は20才~22才位までを過ごしていたこの千歳船橋での約2年間は本当に濃密で、思い出は美化されるその言葉通り、生活は苦しくともバイト先の友人や音楽で知り合った友人達との日々は今でも美しく大切なものとなっています。

そんな千歳船橋(それもいわゆる北口側)にお仕事の関係で昨日、数十年ぶりに寄らせていただきました。

代々木上原から小田急線に乗り換え、駅に到着するまでの約10分少々の間、当時駅前にあった開かずの踏切とその駅前のとにかく雑然としたごちゃごちゃな光景、スーパー成城さんや、中華料理の東秀さん、駅前商店街のさびれた銭湯など数々の光景・思い出が蘇り、到着が楽しみで仕方がなかったのです。

そしてようやく駅に着いてみるや否や、「??」
駅舎が2階にある。たしか駅舎は1階にあったはずだよな。
・・・いやいやいやいや、僕はバカか。小田急線は各駅停車の急行通過待ち時間の異常な長さや、開かずの踏切などにより懸命な複々線化に取り組んでいたではないか。

そうだ気を取り直し、2階の駅舎の階段を下り1階改札へ。

おーっ、ものすんごくキレイになっちょる!さびれた北口側専用改札もなくなって、広々としてるどころか、そもそも僕の中での「ちとふな」の象徴ともいえる駅前の踏切が無くなっているではないか!!!(駅舎が2階にあるのだから、踏切があるわけなかろう)

踏切がなくなったおかげで北口も南口も完全に開放され、いったいぜんたいここは何駅じゃ!?と思わんばかりにあっちもこっちもすっかり様変わりした駅前の様子をキョトキョトと眺めるしかなかった。

目的地へ向かうため少し歩を進めると、、、、おー!「スーパー成城さん」がないーっ(そもそも高級品が中心だから買ったことないけど)。
さらには駅前の少し先、角の「東秀さん」もない!(当時お金がないときのたまの唯一の贅沢は東秀さんの餃子定食だった)
さらには当時通った銭湯さんも当然なかった。。。

道なりは昔と変わらなかったけれど、街並みはすっかり変わっていた。そりゃそうだ、30年近く経っているのだから。
そして昔住んでいた森繁通りに面していたアパートは当然別の瀟洒な建物に生まれ変わっていた。(そもそもアパート建替による立退きによりこの地を後にしたのでそれは知っている)

やはり右を向いても左を見ても、昔の僕のあの「ちとふな」はここにはなくなっていた。
けどこうしてこの街に来たことで、僕の中のあの思い出達がまだこうして生き生きと息づいていたことに感動したし、何より嬉しかった。
30年前、この街で過ごした当時のみんなとは残念ながら今はもう縁がない。
きっとどこかの空の下、病気なんかせず、元気に幸せに過ごしていることを切に願っています。